
保健所や保護センターといった施設や団体、個人で活動している人のもとには、小型犬から大型犬まで、さまざまな理由で飼い主さんと一緒に暮らせなくなった犬が集まっています。里親を検討している人は、ぜひ救える命を救う活動に一歩足を踏み入れてみてください。今回は、里親になる方法や、犬の里親のメリットとデメリットなどをご紹介します。
犬の里親とは?
犬の里親とは、施設や団体、個人に引き取られた犬の新しい飼い主になることを意味します。ブリーダーが廃業してしまったり、やむを得ない理由で飼い主さんとお別れをしなければならなかったりというように、保護されている理由やそれまでの背景は、犬によってさまざまに異なります。
保護犬の種類もさまざまで、小型犬から大型犬まで犬種を問わず、子犬から高齢犬まで保護される犬は多岐にわたります。心に傷を負った犬が多いのは事実ですが、すべての犬が人間嫌いというわけではなく、里親になる新しい飼い主さんに早く慣れる犬もたくさんいます。
里親になる方法

犬の里親になりたいと思っても、何からスタートしたら良いのか分からないという人も多いのでは?里親になる方法をいくつか紹介します。
SNSで探す
最近では、保護犬団体や個人で保護犬の譲渡活動を行っている方が、SNSを通して里親を探していることが良くあります。ボランティア団体や病院など、SNSの運営団体もさまざまです。
SNSは場所や時間を問わずに里親の募集と検索ができることが大きなメリットです。SNSには保護犬の写真のほかに、推定年齢や体重、健康状態、避妊の処置、しつけなどたくさんの情報が記載されており、里親になりたい人は受け入れたい犬を条件から指定して選ぶこともできます。
犬友達のブリーダーから譲り受ける
ブリーダーから里親募集があることに驚く人も少なくありません。犬のブリーダーからは、交配を卒業した犬や交配に不向きな犬、飼い主さんが決まらなかった犬などが里親に出されます。ブリーダーから犬を譲り受ける場合、その犬の血統が分かりやすいのがメリットです。
掲示板で探す
インターネットサイト上の掲示板や、自治体のホームページ、市町村のフリーペーパーに掲載されている掲示板などでも、犬の里親募集が出ることがあります。自治体や地域のフリーペーパーの掲示板などでは、犬の引取り先が自宅近くであるケースも多く、引き取りまでの時間が短く済むケースが多くあります。
保健所で探す
保健所や保護センターでは保護された犬が一ヵ所に集められるので、実際の犬の様子をその場で確認して引き取れることが大きなメリットです。しかし、保健所や保護センターは犬を保護できる期間に限りがあり、里親が見つからなかった場合、殺処分されてしまいます。そのため、全国の保健所や保護センターでは、保護犬の殺処分ゼロを目標にした動きが高まっています。
譲渡会で探す
譲渡会とは保健所や保護センター、保護団体などが行うイベントで、実際に保護されている犬を譲渡会に連れて行き、里親を希望している人がその様子を見に行きマッチングを行なうものです。その場で新しい飼い主さんが決まる犬も少なくありません。
譲渡会では、実際の犬の様子がリアルに確認できるため、犬の特徴や癖などがしっかりとチェックでき、ミスマッチが少ないというメリットがあります。
里親になる条件はあるの?

里親はなりたいと思っても、誰でもなれるわけではありません。保護されていた犬が、今度こそ幸せになるための里親制度ですので、最期のみとりまで責任を持って犬が飼える人でなくてはならないためです。
里親になる条件は、保護している団体によって異なるため、引き取りたい犬が見つかったら、保護団体へ条件を確認してみましょう。なかには厳しい条件であることもありますが、里親になれる条件は、犬が幸せに暮らしていけるかどうかが前提になったものばかりです。東京都動物愛護相談センターでは、里親を希望する人に以下のような条件を提示しています。
- 原則で都内に住んでいて20歳~60歳以下の人
- 今現在、犬又は猫を飼っていない人
- 家族の中に動物アレルギーを持っている人がいない人
- 動物飼うことを家族全員が賛成している人
- 亡くなるまでの間、責任を持って飼うことができる人
- 経済的・時間的に余裕がある人
- 不妊去勢手術による繁殖制限措置を実施できる人
- 住宅で規約等で動物の飼育が許可されている人
- 当センター主催の譲渡事前講習会を受講している方
里親のメリット
犬の里親になることには、メリットもあればデメリットもあります。里親になることは、動物愛護に貢献できることの他にもさまざまなメリットがあります。
犬を迎え入れるときの費用が抑えられる
ペットショップやブリーダーから犬を買うときは、犬自体に値段が付けられています。保護施設から犬を迎え入れる場合は、犬自体には価格が付いておらず、無料での受け渡しになるのが基本です。ワクチンの接種代金やマイクロチップの登録料、事務手数料などが必要にはなりますが、ペットショップで購入するよりずっと費用はかかりません。
基本的なしつけが完了しているケースがある
里親になって犬を引き取る際、犬が成犬だった場合は、基本的なしつけが完了しているケースがあります。待てやお座りなどの基本的なコマンドのほか、トイレトレーニングが完了しているケースも珍しくありません。
大きさが把握しやすい
大型犬や小型犬を問わず、子犬のころは成長した大きさがイメージしづらいものです。特にミックス犬の場合は、予想以上に大きくなって驚いたという飼い主さんも少なくありません。里親で成犬を受け入れる場合は、大きさがあらかじめ分かっているため、飼育スペースの確保やキャリーの用意などがしやすいというメリットがあります。
犬を通じた交流の輪が広がる
保護犬を引き取り里親になると、前の飼い主さんや施設のスタッフ、保護団体のスタッフとの交流が広がることも大きなメリット。犬を育てるときのしつけについてや犬の心のケアなど周囲と相談しながら飼育できます。
里親のデメリット
メリットの多い里親制度ですが、メリットだけではありません。里親になる前には、これから紹介する3つをチェックして、気持ちを固めておくことをおすすめします。
受け入れるまでの手続きが面倒くさい
例えば身分証明書が必要であったり、譲渡を受ける前に保護センターが行なっている研修会へ参加しなければいけなかったり、里親になるまでの手続きが面倒と感じる人もいます。命を受け入れるためには仕方がないと、前向きに取り組んでくださいね。
条件に合う犬に出会えないこともある
例えば室内で飼える小型犬やかわいい時期が長い子犬などは人気が高く、里親になりたいと思っても、抽選や選考になるケースがあります。犬との繋がりも何かのご縁があってこそ。自分と縁のある可愛い子に出会えるまでの過程も楽しみましょう。
人慣れしていないことがある
保護されている犬は、過去の辛い経験から人慣れしていない犬もなかにはいます。しかし、たっぷりと愛情を注いであげれば、見違えるように里親さんと心の交流ができるようになります。時間をかけてゆっくりと絆を結んでいってあげてください。
里親になるときのポイント

犬の里親になると決めたら、さっそく前向きに準備に取り掛かりましょう。里親になる時におさえておきたいポイントを紹介します。保護犬を受け入れたいなと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
契約書の条件を確認
譲渡を受ける団体や保護センターによって、契約の内容が異なります。ワクチンや予防接種代などは少額なので特に問題にはなりませんが、トラブルになりがちなのは、去勢や避妊手術の費用です。日帰りで行うオスの去勢手術は2~3万円程度、1泊入院するメスの避妊手術で3~5万円程度かかります。どちらが負担するかをしっかり確認しておきましょう。
譲渡の際に発生する費用について、不明な部分がある場合は、前もって確認しておくと安心です。
中途半端な気持ちで譲り受けない
命を預かることはどういうことなのか、きちんと理解してから譲り受けてください。中途半場な気持ちで譲り受け、犬に再び悲しい思いをさせないようにしましょう。犬は人間のお世話があってこそ生活できます。
一度心に傷を負った犬は、人慣れするのに時間がかかってしまう場合もあります。過去の辛い経験や豊かな社会化期を過ごさなかったことから、車の音や子どもの声など、特定の物事を嫌がる場合もあります。その犬のこれまでとこれからのすべてを受け入れる覚悟を持って、里親になってあげてくださいね。
飼う前にある程度の知識は身に付けておく
里親になるには、過去に犬を飼育した経験がある人が理想ですが、必ずしも経験者じゃなければ里親に慣れないというわけではありません。犬との生活についての知識、受け入れる犬の犬種についての知識など、ある程度の知識は身に付けておいたほうが、里親さんにとっても犬にとっても良い結果につながります。
里親になるための準備
里親になるためには、どのような準備をすれば良いのでしょうか。基本的には、犬を迎え入れる際に必要なものと代わりありません。受け入れる日までに準備しておきたいものをリストアップしたので、不足がないかチェックしてみてくださいね。
里親のまとめ
さまざまな理由で保護されている犬が、新しい飼い主さんを求めています。保護犬の里親になるには、気持ちや環境の準備が必要ですが、里親だからこそ感じられる心の繋がりや生活の楽しみはとても大きいものです。里親になるための条件や心構えなどをしっかりと理解して、かわいい愛犬を迎え入れてあげてくださいね。